腹膜播種外科手術

外科手術

がんの3大治療法である外科手術ですが、腹膜播種は基本的に手術不可と判断されるのでどこの病院でも手術できるというわけではありません。

現在腹膜播種を手術できる病院は

だけだと思われます。

他にありましたらご連絡いただければ幸いです。

当科で行なっている手術方法と周術期化学療法

図―1に示すのが我々の治療方法である。

図-1:横隔膜腹膜の切除

腹膜播種の診断を腹腔鏡で行なう。腹腔鏡は全身麻酔下に行なう。腹膜播種の分布・量・腹膜播種係数(Peritoneal Cancer Index;PCI)を記録する(図-4)。

図-4:腹膜播種係数 Peritoneal Carcinomatosis Index (PCI)の算出法

 

 

同時に温熱化学療法(Hiperthermic Intraperitoneal Chemo-Perfusion;HIPEC)を行なう。

過去の文献や研究でエビデンスのある抗がん剤を疾患別に添加した生食水3-4Lを43度に温め、体外循環装置を用いて40分間腹腔内を還流する。

閉腹時に腹腔ポートを挿入し、細胞診や腹腔内化学療法を行えるようにする。この方法をおこなった250例では合併症はなく、術後平均4-7日で退院できる。

その後、腹腔ポートから術前腹腹腔内化学療法を行い再度腹腔鏡を行う。

完全切除ができるか否かを診断し、完全切除できる場合は3ー4週後に開腹手術を行なう。

完全切除できないと判断した場合、抗がん剤の投与を継続する。

完全切除できるか否かは腹腔鏡検査、CT/MRIによる腹腔内・後腹膜への深部浸潤診断・PET-CT/CTによる腹部外の転移巣の存在,疾患別に設定したPCI閾値で判定する。

手術方法

腹膜切除は腹膜播種に侵されている腹膜を完全切除する方法である。

壁側腹膜切除と臓側腹膜切除がある2,5,6)。

肉眼的に転移のない腹膜は可及的温存する。

壁側腹膜切除には横隔膜下面腹膜切除・壁側腹膜切除・骨盤腹膜切除が行われる。

切除前に腹腔内遊離癌細胞を腹腔外へ洗いだすため、1リットルの生食水を腹腔内へ入れ、攪拌洗浄・吸引を10回繰り返す(Extensive Intraperitoneal Peritoneal Lavage: EIPL)。

横隔膜切除は図1のように横隔膜筋層を露出するようにしてボールチップ型電気メスで剥離し横隔膜を覆っている腹膜を一括切除する。

図-1:横隔膜腹膜の切除

骨盤腹膜は図—2のように剥離し、直腸が高度に侵されていた場合は直腸を合併切除する。

図-2:骨盤腹膜の切除

直腸・結腸吻合を機械吻合で行い、縫合不全の防止のため回腸に人工肛門を造設することがある。

大網は最も早期に転移が見られるので切除する。

このとき胃癌手術のときの大網切除と同じように行う。

横行結腸が巻き込まれていたら結腸合併切除も行う。小網・肝十二指腸靭帯の転移を十分観察し、転移があれば切除する。

肝臓被膜や肝臓周囲の靭帯は高い頻度で転移が認められる。図—3のように肝臓の被膜を肝実質から剥離するようにすれば完全切除できる。

図-3:肝被膜転移の切除:肝臓を温存しながら腫瘍を切除できる

この方法を用いることで肝臓は全て温存できる。これをグリソン被膜切除という。

また、肝門部・尾状葉および網嚢上窩の転移巣切除は肝動脈・胆管・門脈などをテーピングし、我々が開発したアクアダイセクションで切除できる。

アクアダイセクションでは低分子デキストラン+アドレナリンを組織内に注入し、血管や臓器を傷つけない安全な剥離層を見つけることができる。

脾臓の被膜も同様に転移しやすいので必要があれば摘脾をすぐ行なう。

粘液が腸間膜に薄くこびりついているようなときは電気メスやアルゴンビーム凝固装置で蒸散(electric evaporation)させることもある。

小腸や、小腸間膜の転移も可及的切除するが、小腸が少なくとも2mは残るようにする。

これ以上の切除を行なうと生涯にわたる中心静脈栄養点滴が必要になる場合がある。

出血量が4-6リットルを越えた時点で手術は終了し、腫瘍が遺残する場合は数ヵ月後に再切除(redo surgery)を行う。

切除後はリンパ管の切断や出血などで腹腔内にこぼれ出た遊離癌細胞を洗いだすため生食1Lx10かいのEIPLを再度行なう。

腹膜切除による完全切除率

2004年6月から2015年7月までに当センターで治療した2863例のうち1733例(60.5%)に播種の切除・Ctoreductive surgery (CRS)が行なわれた。

このうち腹膜切除により1046例(60.4%)で播種と原発巣の完全切除が行なわれた(表―1)。

不完全切除の原因は小腸間膜の広範な転移・併存症例・高齢者・完全切除不可能な広範な播種などであった。

特に小腸間膜の転移は胃癌・大腸癌・腹膜中皮腫で不完全切除の大きな原因であると同時に、予後不良なサインでもある。

表―1;過去8年間で治療した主な疾患と完全切除率

術前化学療法施行例 手術例 完全切除例
胃癌 892 420 227
腹膜偽粘液腫 1106 825 484
大腸癌 455 240 183
小腸癌 45 28 18
腹膜中皮腫 37 32 8
卵巣がん 262 142 93
胆嚢・胆管・膵癌 46 31 21
肉腫 20 15 12
2863 1733 1046

引用:岸和田徳洲会病院

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